技術も学び続けつつ、
後進を大事に教育出来る料理人でありたい。
三鈴カントリークラブレストラン
上席調理長 / 44歳
三重県立水産高等学校 卒業
2022年
現在に至る
2021年
上席調理長に昇格
三鈴カントリー倶楽部レストランとの兼務を任される
2020年
鈴鹿フードコートへ異動
2018年
賢島カンツリークラブレストランへ異動
2016年
再入社、「名四カントリークラブレストラン」に調理長代理として配属される

今までの経歴を教えてください。

中学生の頃から料理人になることが夢でして、高校を卒業してすぐ料理の道を一通り学ぼうと思い、18歳でダイナックへ入社しました。

想像していたよりも本当に環境が良く、優しい先輩方に囲まれて和食も中華も覚えることが出来ました。そして24歳で調理長を任せてもらい、そこから長として3年間勤務したのですが、入社してからちょうど10年経った頃、パンやコーヒーなどのジャンルも覚えたいと思い、急に思い立って自営業の道へ進みました。

当時のダイナックはパンを一から手作りなどはしていなかったので、恩師である部長に相談してから退社することとなりました。

ずっと料理の勉強を究めたいと思ってはいましたが、独立は考えていなかったので、本当に急に思い立ったという感じです(笑)

独立し、ダイナックに戻ってこようと思ったきっかけは?

ダイナックを一度退職してからは、今まで教わってきた和・洋・中のジャンルも取り入れながら、オーガニックカフェを自営しました。昼は健康食メインのランチ、夜は懐石・コースのお店でしたが、あくまでコンセプトは「健康食」なので野菜を取り入れたりしていました。

大体5年間のスパンで2店舗目を出店、2店舗目は住居を兼ねたお店で、徐々に北上していきまして、3店舗目をどうしようかと考えていた時の出来事です。

たまたまテレビを見ていたら街角インタビューをやっていたんですね。「返し忘れた忘れ物ってなんですか?」という内容で。ランキングでCDやらゲームやら出てきたのですが、1位が「恩返し」だったんです。それを見た瞬間「あ、やばい」と思いまして(笑)

入社時からの恩師である部長をはじめ、お世話になった先輩方に何も恩返しせず、思い立って独立の道に進んでしまったな、と…

私には自分の店も家もあるし、再スタートはいつでも出来るという感覚でいたので、それなら恩師が定年を迎えるまでに、今のうちに代わりに出来ることはないか?と考えましてダイナックに戻ることを決めました。

独立した店舗には恩師も当時の板長も、様子を見に来てくれていたということもありまして、ダイナックを離れても人間関係は切れることはありませんでした。

自営業していた期間は10年くらいですかね。1店舗目はテナントとして借りていたので、ダイナックでいうところの調理長代理の子に預ける形で、私はダイナックに“出戻り”ました。

どのような教育方針で後輩育成に臨んでいますか?

技術面に関しては行動で教えることが絶対条件ですが、それはあくまでも形を教えただけ。

そこからの成長は自分で考えることが何よりも大事だと思っています。子供もそうですが、教えてから自分で考えさせると急激に成長していきますよね。なので、若い世代の子たちにも同じようにチャンスを与え、自分で考えさせる状況をつくります。

衛生など基本的なことは勿論教えますが、それ以外のことは「こうしないとダメ」という縛りを作らずに、基礎を守りながらどうやっていけば良いのか、ヒントはあげたとしてもあえて答えは出さないようにしています。

いつも伝えているのは「俺が言う意見はあくまでも100あるうちのたったひとつ。」色々な方の意見を聞いて、自分がどれに合っているのか?を日頃から考えさせるようにしておけば、今後色々な場面で役に立つというのが、戻ってきて教える立場になったので貫いている教育方針ですね。

色々なジャンルを自分も勉強しつつ、何かのきっかけでスイッチが入ることを願いながら、多方向からのやり方・教え方・考え方をアドバイスするようにしています。時間はかかりますが、様々な引き出しを与えること。

これは恩師たちの良い人柄を吸収してきた自分が、後輩へつないでいきたいと思うことの一つでもあります。

現在の目標を教えてください。

ずっと変わらないのは「ここで働いていてよかったな」とみんなに思ってもらえるお店づくりをすることです。

同じユニットの調理長代理はもちろん、今まで関わってきた店舗や若い方々に対してアクションを起こしています。

それぞれの性格を見て、どう活かしてあげるかを常に考えるようにしています

あとはプライベートを大事にしたい若手が多いので、オン・オフの切り替えを大事にするように伝えていますね。遊ぶ時は全力で、仕事は仕事でしっかりやること。

あのお店に食べに行きました、と言われた時には、こんな料理を次は作ってみようかなと考えられるのであれば、アドバイスもするように心がけています。

技術もですが、後進を大事にできる料理人でありたいと思いますね。

どんな人と一緒に働きたいです からか?また学生時代に勉強しておいた方が良いことはありますか?

料理が好き、料理に貪欲な方が良いですね。料理が好きだという気持ちがあれば、技術はなくても大丈夫。

自分の時は専門学校に行っていなくても、その間に現場で学ぶことが出来て実践がすぐに出来るからラッキーという考えでした。なので、調理職を目指す上で専門学校を卒業していないから…とネガティブになる必要はないと思います。

勉強しておいた方が良いこと…私の場合、料理と全く異なるジャンルで勉強したのは心理学ですね。学生時代ではなく、独立開業した20代の頃の話です。

プレッシャーによりまわりにきつくあたってしまい、ガミガミしている時期があったんですよね。ホールの方にあたってしまい、ホールの方はお客様に負の感情を出してしまい…という負の連鎖になってしまったことがありました。

まわりから「めっちゃ怖い顔してるよ」と言われてその状況に気づき、これではダメだ、どうやったらみんなが楽しく出来るのか?ということを考えるようになりました。

自分が思っていることを言っても相手に響かなかったら意味がないので、相手がどういう表情をしているのか、どんな返しをしてくるのかを見るように気を付け、相手の真意を汲み取ってどんな返しをした良いのかを知るために心理学を勉強するようになったんです。

自分が正解とは思わずに、失敗から学んで切り替えが出来るような勉強をしておくと良いかも知れないですね。